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2013年9月

2013年9月 9日 (月)

後医は名医

憂子獣医師の出産などの忙しさにかまけて、
ブログの更新が滞っておりましたことをお詫び申し上げますm(__)m

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獣医師の世界では
「後医(こうい)は名医(めいい)」という言葉があります。

セカンドオピニオンや転院で、
先に診た先生よりも後に診た先生のほうが
「名医」と思われてしまうケースが多いということです。

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初発の症状で先に診察した場合、
明らかに少ない情報量、経過の中で、
一般的な疾病に対して
ファーストチョイスの検査と治療がなされるのが普通です。

初期段階から希な疾病を疑って診療していくことは
症状から強く疑われる、迅速な診断が望まれるといった
特殊なケースに限られます。

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転院やセカンドオピニオンで診察をする場合には
すでにある程度の検査や治療が行われているので
その情報を基にして診療をすすめていくことが可能です。

ある検査が行われている、ということも重要ですし、
ある治療がどの程度行われて、どの程度反応があった、あるいは無かった、
ということは、診断していく上で非常に重要な情報となります。

その上で診察ができるということは、
先に診た先生よりも優位なことが多いのです。

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そのため、この言葉は獣医師にとっての戒めとしても使われます。
私も初めて聞いたのは腫瘍科の教授からでした。
二次診療を多く診ている先生からの言葉だったので
とても印象的だったのを鮮明に覚えています。

肝に銘じておきたい言葉のひとつです。

2013年9月 7日 (土)

疥癬症

疥癬による皮膚炎から回復してきているエイトちゃんです。
治療の反応がよく、毛も生えてきています。

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疥癬症は単純な病気に思われがちですが、
皮膚に潜り込んで検出されないことも多く、
実は見落としやすい病気のひとつです。

2013年9月 6日 (金)

ご長寿ネコちゃん

黒猫のモモちゃん
20歳3ヶ月です。
人間で言えば100歳前後です。

水分の喪失量が大きいため
定期的に点滴をしていますが、
ごはんも食べて頑張っています。

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にんげんも負けてられないですね!

猫ちゃんの眼瞼炎、結膜炎

眼瞼炎と結膜炎がなかなか治らなかったタマちゃんですが
だいぶ良くなってきてくれました!

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猫ちゃんの眼瞼炎、
結膜炎はヘルペスウイルス、クラミジアなどが
原因になることが多く、
混合感染も多く見られます。
またヘルペスウイルスは神経節などに潜伏感染し、
ストレス時の免疫低下時などに再発することもあります。
(その時には呼吸器症状も出ると言われていますが
出ないことも多いと考えています。)

猫ちゃんの乳腺腫瘍

乳腺腫瘍の治療のために
片側乳腺全摘出、子宮卵巣摘出を頑張って乗り越えた
ミーコちゃんです。

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少なくとも30~40針は縫うことになりますが、
本日、抜糸まで終わりました。
乳腺腫瘍に罹患している動物ではよくあることですが
子宮、卵巣にも異常が出ていました。

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ミーコちゃん、よく頑張りました!

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猫ちゃんの乳腺腫瘍は悪性であることが多いため
見つけた場合には手術が適用となることがほとんどです。
胸部から腹部にかけて、小さくても気になるしこりがある場合には
あまり様子を見ないことをお勧め致します。

2013年9月 5日 (木)

大型犬の起立困難

足腰が悪くなったわんちゃんは、
大きい子であればあるほど
介護が大変で、経過も悪くなりがちです。

ただでさえ、体重もあり、
介護やリハビリに要する労力も大きいため
褥瘡(床ずれ)が出来やすい上に、
暑い季節やジメジメした時期には
ハエ蛆が寄生してしまうこともあります。

ラッキーちゃんは初診時、
起立不能で、全身状態も悪化してきていましたが、
ご家族のかたの献身的な介護のお陰で、
歩けるようになるまで回復してくれました。
ごはんも食べてくれています。

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一緒に治療に当たってくれたスタッフもとても喜んでいます(^O^)

かめちゃんの中耳炎

ミドリガメの中耳炎の治療記録です。

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向かって左側(かめちゃんにとっては右側)の耳が腫れています。

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針(18Gくらい)で穴を開け、
ノンベベルの注射針(22Gくらい)で洗浄し、
カッテージチーズ状の膿を排出します。

抗生剤を使用します。

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処置後2週間。
穴もふさがり、腫れもなくなりました。

良かったね!カメ太ちゃん!

膝関節炎

膝関節の炎症があって

後ろ足を片方あげてしか歩けない状態だった
ミントちゃん。
Imgp0885
今日の再診では膝の関節の腫脹も改善し
4本足で歩いてくれていました。
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膝関節は膝蓋骨、十字靭帯、半月板など、障害の後発部位です。

2013年9月 3日 (火)

大型犬用耳鏡

耳の中を検査する耳鏡という器具があります。
医療用のもので多種のものがありますが、
大型犬の耳クラスになると、鼓膜付近までの検査が
難しくなってしまいます。

理由は耳鏡につけるアダプタがあまり大きくないためです。
人間の耳ならこの大きさでも十分かもしれませんが、
大型犬では不十分です。

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当院でも使用している医療用のウェルチアレンの耳鏡は
乾電池式で軽く、見やすく重宝していますが、
本来は動物用のアダプタを付けることができません。
そのため、大きめの動物用のものを
改良してつけることができるように工夫しています。

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動物用の耳鏡のアダプタを用意します。
このままでは付けることができないので、
熱を加えて穴を小さくします。

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これで耳鏡に装着することができるようになりましたが、
これでは焦点深度が合わずに、ぼけてしまいます。

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そのため、耳鏡の焦点深度のちょうど良い長さに
アダプタをカットしています。

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これで小型の耳鏡でも
大型犬の鼓膜付近まで確認することができるようになります。

2013年9月 2日 (月)

大動脈血栓塞栓症

猫ちゃんの心筋症などで発生した血栓が動脈の分岐部に詰まる、
大動脈血栓塞栓症という病気があります。

急性の経過をたどってしまうことも多いのですが、
副作用のより少ない新しい治療薬の使用により、
少しずつではありますが、急性期を乗り越えることができる子が
増えてきてくれています。

チュパちゃんもなんとか急性期を脱してくれました。
再発、憎悪の予防のために注射を定期的に行い、頑張ってくれています。

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新しい治療法を研究してくださっている先生方に感謝です!

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