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2015年11月12日 (木)

3周年(思い出に残っていること)

今回は、獣医師として仕事を始めてから
特に思い出に残っていることについて書いてみたいと思います。
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私が獣医師として動物病院で働き始めたときに
初めて担当を任された猫ちゃんがいました。
21歳のアビシニアンの女の子で、糖尿病と腎臓病を患っていました。
インシュリンによる血糖値の安定化と、
腎臓病による身体の負担を少しでも軽くしてあげる治療と看護を行いました。
まだ知識も経験も少なかったので
先輩の獣医師や、看護師さんにたくさん助けてもらいながら
それでも、自分なりに一番と思われる治療をしてあげようと
必死に勉強をして治療にあたりました。
そうは言っても、高齢での慢性疾患ということもあり
徐々に進行してしまい、最終的には看護が常に必要な状態になり、
数ヶ月後に、自宅で息を引き取ってしまいました。
その間、飼い主の方から聞いていた、
「できるだけのことをしてやりたい」
「生きてくれているだけでうれしい」
というお考えに少しでも応えたいという気持ちでやっていましたが、
結果として本当に応えられたのかという思いが残りました。
しかし、病院の先輩方や看護師の方から励ましていただき、
飼い主の方から身に余るお礼の言葉をいただいて、
胸が熱くなったことを今でもよく覚えています。
今思えば、そのことが
自分にとっての臨床獣医師としての最初の一歩だったと思っています。(潤)
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獣医師になってからのことを思い起こすと、元気になってくれた子の顔、
喜んでくれた飼い主さんの顔がたくさん浮かびました。
でも、それと同時に治療の甲斐なく亡くなってしまった子たちの顔も浮かびます。
勤務医になり、ようやく患者さんを一人で任せてもらい始めた頃、
はなちゃんというわんちゃんを担当させてもらっていました。
皮膚に悪性の腫瘍ができて、手術のあとで抗がん剤の治療をしていました。
頑張って治療に耐えてくれていましたが、
抗がん剤の副作用が強く出てしまったこともあり、
入院中に亡くなってしまいました。
家族の皆さんにとても大切にされ、太陽みたいに明るい性格の子でした。
状態が悪化してからも、入院室のドアを開けると、
私を見上げてくれるような、かわいい子でした。
獣医として歩き始めたばかりで、はなちゃんが亡くなった時はひどく落ち込み、
最善の治療と思ってしていたことがこれで良かったのか、
何か落ち度はなかったのかと自分を責めていたのをよく覚えています。
でも、はなちゃんのおかげで、
これから獣医としてどのように動物たちと向き合っていけばいいのか、
どのように向き合っていきたいのかを真剣に考えさせてもらうことができ、
それが今の私につながっていると思います。
実は、今でも、誰かが亡くなる度に、
この治療で良かったのかという自問自答は繰り返されています。
でも、今はその気持ちに加えて、誰かが亡くなったら、
必ずその子から何かを学び取ろう、
そして、次の診察につなげるんだと決めています。
それが、今まで診せていただいていた子たちへのはなむけになると信じています。(憂子)

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