手術後のお写真






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年末のせわしない時期で
病院も慌ただしい状況でありましたが
クリスマスも終わり、
今年も残すところわずかになりました。
本年もたくさんの動物たちを診させていただきました。
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来月で当院は開院して4年目のお正月を迎えます。
4年目の節目に際しましての所信を示させていただきます。
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人生観というものは人それぞれですが、
人生って素晴らしいと思える瞬間や、
ある出来事を思い出したときに、ふとそう思える瞬間があります。
小さな動物たちは人よりも寿命が短いので、
人生の中で、すでに思い出になっていることもあります。
動物と一緒に生活をしている方にとって、
かわいくて無邪気な動物と過ごしてきた時間が
「一緒に過ごすことができて良かったな」という思い出になれば
人生はより豊かなものになると思います。
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ここ7〜8年ほどの間に、
Human Animal Bond(人と動物の絆)というキーワードが
獣医師の間でも取り上げられるようになってきました。
人と動物の絆を最良の状態に維持することを
獣医療を通して目標としていくということですが
抽象的なワードなので、なかなか実践していくのは難しいところがあります。
私個人の解釈としては、人と動物の一生、
飼い主さんと伴侶動物それぞれの一生を、より良いものにすること、
そして振り返ったときに、
「一緒に過ごすことができて良かったな」という思い出が残せるように
お手伝いすることができれば、そのゴールは達成されると思っています。
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私たちはこの地区で開業してすぐに、
土地柄、遠くまでいかなくては
専門医や大規模な病院での診療を受けられない状況であり、
多くの方が実際にはそれが叶わない状況だということを知りました。
また、全国各地で、
地区ごとでできることを増やしていこうと
奮闘している先生方がいらっしゃることを知りました。
私たちの地区では、病院そのものの規模を
大きくすることは現実的ではないのですが、
夫婦ふたりで向上心を常に保ちながら
可能な限りカバーできる分野を増やして
地域の獣医療に必要とされる知識や技術を習得して、
それを実現するための設備を少しずつでも揃えていき、
情熱と真心と誠意を持って、真面目に獣医療に取りくんでいくことが
この地区のHuman Animal Bondに繋がると考えています。
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専門医の先生方は常に新しい道なき道を切り開いている先駆者で、偉大な存在です。
我々、市井の臨床医はその先生方から常に有用な情報を得て臨床に活かし
実践し正確に一般化していく義務があります。
そのためにも、常に症例発表や研修会などの場で、
臨床家同士でその運用が正しいか、もっと良い方法がないかを
研鑽していかなくてはいけない立場であるとも思っています。
私たちにも、それぞれ興味のある分野や好きな部門、
病院内での担当などはありますが、
市井の臨床医にとって「専門分野」があるとか、「専門家」である、
という言葉は、本当の専門医や研究者へのリスペクトがあれば
なかなか言えない言葉である、というのも、
そういった明確な立場の違いがあるからです。
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ここ数年、北陸の獣医療を盛り上げていこうという若手の先生が増えてきていて、
私たちも不肖ながら声をかけていただけることがあります。
臨床医として切磋琢磨しながら、
「能登」という地区で、その一翼を担えるように努力したいものであります。
そのためにも、常に深く広く知識を得る努力を怠らず、
これからも必要な症例や遠方でも通院が必要な場合は
専門的な治療のできる施設を紹介しながらにはなりますが
地元でも安心してかかることのできる病院を目指していきたいと考えています。
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まだまだ未熟ではありますが一頭一頭の動物たち、一人一人の飼い主様に
日々育てていただいきながら頑張っていきたいと思っています。
来年も、宜しくお願い申し上げます。
動物の血糖値や尿比重は、
糖尿病や腎臓病の検出や管理でとても重要な役割をします。
しかし、人間用の測定機器では、
特殊な計算や前処理をしなくては正確な値がでません。
今までは人間用の機械で代用していましたが
少しずつ、動物専用に作られた機械が出てきていますので
当院でも導入しはじめています。
上は動物用の尿比重計と迅速血糖測定器です。
獣医師としては動物のための研究開発に取り組む企業は
ありがたい存在です。
体温測定は重要な検査の一つですが、
主に直腸温(お尻から体温計を入れて測る温度)が用いられています。
水銀式の体温計で直腸温を測ることが一番正確性が高いと言われていますが
ある程度の時間、肛門に体温計を入れておかなければいけないということもあり
どうしても嫌がってしまう子も多いのが現状です。
また、直腸や肛門に炎症や損傷がある場合には計測するのが困難になります。
当院では動物の状態や性質に合わせて4種類の体温計を用意しています。
右から2番目が最も信頼性の高い、水銀式の体温計です。
耳で計測する体温計。
肛門で計測する電子体温計。
眼で測定する体温計。
正確に測るにはコツも要りますし、
施設ごとで測定法を統一する必要も出てくるかと思います。
当院ではデータを取って
負担が少なくなるべく信頼性が高い方法を
その都度、選択できるように工夫をしています。
データも揃ってきていますので
機会が来ましたら全国的な発表の場などで紹介していきたいと
考えています。
たかが体温測定かもしれないですが
恐がりさんや甘えん坊さんにとっては重要な問題なんです!
先日、東京で行われたレプタイルショー(ハ虫類などのイベント)に
エキゾチックアニマル好きなスタッフに参加してきてもらいました。
写真撮影NGのブースが多く、なかなか写真が撮れなかったようですが
レポートを作成してくれました。
クリックで拡大します。
↓
東京や大阪、名古屋での開催が多く
なかなか参加することは難しいのですが
このレポートでだいぶ会場の雰囲気がわかりました。
エキゾチックアニマルの飼育も、ブームの頃に比べると落ち着いてきて
展示動物も奇をてらったものだけでなく、身近な動物が増えてきているようで
いたずらに珍しい動物を飼育するのではなく
飼育しやすい動物が適正に飼育される方向に進んできているようであれば幸いです。
今月は歯科月間ということもあり
歯に関しての説明がしやすいように
いくつか工夫しはじめたことがあります。
こちらのライトは歯垢や歯石が
ピンクや赤に目立って反射するライトです。
この子の場合は上顎の奥歯(写真の左側)に少し付着しています。
歯肉が透明になっている、動物用の歯科模型です。
わんちゃんの歯がどれだけ深く、歯肉に埋まっているかがわかります。
歯の健康が大事なのはわんちゃんだけではありません。
ねこちゃんでも歯肉炎や口内炎はとても多いですし、
草食動物であるうさぎさんは、
歯の異常は生命と直結する問題になってきます。
模型は左からわんちゃん、ねこちゃん、うさぎさんです。
歯の生え方が動物によって全く異なっているのがわかります。
特に草食動物のうさぎさんはわんちゃん、ねこちゃんとは
大きく異なっています。
先日、椎間板ヘルニアの手術を行ったくうちゃんです。
はじめは下半身が完全に麻痺していて
おしっこすらできない状態でしたが、
手術とプールや低周波鍼治療などを組み合わせたリハビリを頑張って
元気に歩けるまでに回復してくれました。
院内を駆け回って
カメラを構えても
早くてブレてしまいます。
今回の手術は、ちょうどくうちゃんが救急で来院したときに
大学の神経科や、椎間板ヘルニアの二次診療を請け負っている病院での
勤務経験がある先生が見学に来る予定と重なったので
その先生と2人体勢で手術に臨むことができ
術式の細かい部分の改善点を指摘してもらいながら行うことができました。
愛知県のあま市で開業予定の関先生です。
奥様はトリマーさんです。
二人とも以前一緒に働いていたことがありますが
優しくて、優秀で、動物想いの、素敵なご夫婦です。
病院は3月オープン予定です。ホームページはこちら
今回はほぼ同業者の方向けの内容です。
小動物の歯科の分野は
伴侶動物の高齢化とともに、
重要性が高まっています。
そのため、歯科用のマイクロエンジンを導入して
表面の研磨や抜歯を行う施設が増えてきています。
しかし、それらの導入に当たってハンドピース先についての規格が
歯科に特化していない我々にとっては単純でない部分がありますので、
ご参考までにまとめてみました。
①FG(フリクショングリップ)タイプ
②CA(コントラアングル)タイプ または RA(ライトアングル)タイプ
③HP(ハンドピース)タイプ
④スクリュータイプ(プロフィー用)
大きくこの4種類に分かれるかと思います。
①はハイスピードハンドピースで使用する直径1.6mmの短いバー
②は等速や減速のコントラアングルハンドピースで使用する直径2.35mmの短いバー
③はストレートハンドピースで使用する直径2.35mmの長めのバー
④はプロフィー用ハンドピースで使用するネジ式の先(カップなど)
*メーカーによる差がある可能性がありますので、
事前にご確認いただきますようお願い致します。
恒温培養器を導入したので
院内での薬剤感受性試験が可能になりました。
昨今、薬剤耐性菌による難治性感染症が問題になっているため
治療根拠に基づいた抗生物質の使用が推奨されていますが
感受性試験や培養検査は外注検査で行われることが多く
コストと時間がかかるという問題点がありました。
そのため院内で感受性試験が行えることでメリットが大きいと考え導入しました。
専門の検査センターでの培養同定試験に比べると
精度の点で劣りますが、その前段階の検査として、
あるいは同時に行うことで
早期に正確な抗生物質の選択ができる可能性が高まります。
開業以来、多く行っている手術の一つとして骨折の手術があります。
骨折の手術とひとえに言っても、
動物種や骨折する部位によって治療法は全くことなってきます。
①ギプス・副木などを利用する外固定
②皮膚と骨を貫通させて体の外で骨を固定する創外固定
③骨髄の中にステンレスの人工的な芯を埋め込んで固定したり
金属のボルトで金属片を骨に密着させて固定する内固定
の3種類の固定法から動物種や骨折部位に合わせて選択し、
さらに使用するインプラントを選択していきます。
小さい動物ではハムスターや文鳥から、30kgを超える大型犬まで、
そして骨折部位は顎や骨盤などの中心部の骨から四肢や指の末端の骨まで、
実に様々なケースに遭遇します。
骨折の手術というと基本的な診療行為だと思われがちですが
小動物の骨折治療は術後の安静が難しく、人と比べてギプス固定が適応しないケースも多く
比較的難易度の高い部類に入ります。
当院でも可能でない手術もありますし
緊急を要しない時などは経験の多い病院をご紹介することもあります。
ここ最近は、ロッキングプレートという
従来のインプラントよりも優位性の高いものが使えるようになってきており
特に、人の顎の手術で使うMatrixMandibleという製品が
小動物の手術で使いやすいものとして紹介されています。
当院でも実技講習に参加し、実際の手術でも数を重ねてきていますが
チタン製で軽いにもかかわらず、骨の状態に合わせて角度を付けて強度の高い固定ができるため、
従来のものよりも安心感があり、
動物や飼い主の方への負担を少なくするメリットが多いと感じています。
もちろんこの手術法も万能ではなく
動物の状態によって、最適なものを提案できるように
今後も骨折治療の選択肢を増やしていきたいです。
下記は当院での治療例です。
小さなこだわりかもしれないですが、
当院では、手洗い後の清拭にペーパータオルを使用しています。
昔、勤めていた病院の方針だったのですが
手は診療中に最も汚染しやすい部位であり、
私たち自身が常に清潔にすることを心がけて手洗いや消毒を励行しても
その際に使用するタオルに問題があれば意味のないものになってしまいますので
ペーパータオルを使用するようにしています。
ペーパータオルの利点については
日本感染症学会のWebページでも推奨されています。
内視鏡導入から一年近くが経ちました。
近隣の動物病院からご紹介いただくこともあり、
活躍してくれることが多くなっています。
内視鏡では、主に、
①胃腸の異物の摘出
②粘膜の一部を剥がして検査する「内視鏡下生検」
を行っています。
いずれも、開腹手術を行うことなくできるので
動物への負担を少なく行うことができます。
特に、胃内異物の摘出は、緊急性を要することが多く、
放置すれば、先端の鋭利な物(木製や金属製の尖った破片や骨の破片)や
詰まりやすいものなどが、
腹腔内で穿孔してしまったり、腸で閉塞してしまったりする可能性があります。
TeamHOPEという、全国の獣医師が中心となり、
動物愛護の精神に基づき立ち上げた啓発プロジェクトがあります。
具体的には、飼い主さんと獣医師や看護師とともに
気軽にペットの健康チェックを行うウェルネスチェックと
受診しやすいように、基本的な検査項目で構成されたTeamHOPE健康診断を
全国の賛同病院において行っています。くわしくはこちら
もうすぐクリスマスですね。
12月は、12月8日の歯ブラシ交換の日にちなんで、
歯の愛護月間を行います。
歯が気になる方は歯のチェックにお越し下さい。
歯科処置をご検討される方は
麻酔前検査を、期間中、お値引きしております。
また、口臭予防のサプリメントの試供品を無料で差し上げておりますので
ご希望の方は受付までお申し付けください。