小腸〜大腸にかけての腺癌を摘出したBOSSちゃんです。
先日、術後の経過観察では
体重がかなり増えて調子が良さそうでした。
だいぶふっくらして毛並みも良さそうです。
わんちゃんやねこちゃんの腸の腫瘍には
リンパ腫や腺癌などがありますが、
診断が難しく、
食欲不振や、下痢嘔吐、体重減少といった消化器症状から
必要に応じて血液検査、レントゲン、超音波検査などの
麻酔を必要としない検査を行いますが
それでも確定することが困難なことも多く
その場合は麻酔や鎮静をかけての
内視鏡検査、CT検査、病理・細胞診検査などから
総合して診断することになります。
腫瘍であった場合には
治療方法が手術や抗がん剤、放射線治療など
侵襲性の高いものが多く、
実施するに当たって、
より確定診断に近い診断が必要となるからです。
昨年、歯周病治療を行ったふくちゃんです。
歯石を取ってあげたいということでしたが、
実際には歯周病になっている歯があり、
すでに歯根膿瘍になってしまい、
抜歯が必要にな歯もありました。
また、重度の歯周病で
歯肉が退縮してしまっている歯もありましたが、
歯周ポケットの十分な処置(ルートプレーニング)を行い、
幸い、1年後の再診時には歯肉が盛り上がってきていました。
歯肉の増生が期待できる歯に関しては
こういった処置が、見た目の審美性以上に
大切になると考えています。
歯石の付着している歯は、
超音波などの器具で歯石を取ったあとに
歯の表面に、
拡大鏡や手術用顕微鏡でないと判別できないような
小さな傷がたくさんでき、
歯石が再付着しやすくなってしまうことがありますので、
同時に研磨する処置(ポリッシング)
を行うことも大切と考えています。
動物病院で行う歯科処置は
歯医者さんと比べればかなり限られているかもしれませんが、
一般に
歯石を取るスケーリング
歯周ポケットの壊死組織や
歯石を取り除くSRP(スケーリング&ルートプレーニング)
表面を研磨するポリッシング
覆髄治療、根管治療
部分的な歯石の分割
抜歯、歯根分割
などがあります。
しかし、どの手技がその子のどの歯に必要かを
正しく診断することが
歯科処置そのもの以上に重要になります。
この画像はわんちゃんの顎のCTです。
このわんちゃんは麻酔下で歯石を取ったのが
1年くらい前と聞いていましたが、
すでにたくさんの歯石がついていて
歯茎も腫れていました。
丸がついているところは、歯根病巣があり
歯槽骨を溶かしてしまっています。
歯石をとっても表面に傷がついてしまえば
取る前よりも歯石がつきやすくなりますし、
一見しっかりしている歯でも
すでに歯根は細菌の病巣になって
修復不能になっている場合もあります。
歯が欠けたり摩耗したりして
神経が露出してしまっている場合は
感染しないように被覆する処置をしたり
神経を抜く根管治療になることもあります。
また、ねこちゃんの口内炎では
歯石だけ除去しても
根本的な治療にならないこともあります。
前腕骨折の手術を頑張ったむぎちゃんです。
骨も癒合し、固定器具を外すことができました。
ウサギさんは飛び上がる力が強いわりに骨質が薄く
骨折しやすい動物なので、
飼育されている方はご注意ください。
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動物さんの医療の中で
「一次診療」「ホームドクター」「町医者」と呼ばれる
規模の病院(当院も当てはまります)では
どうしても対応できない分野が出てくることがあります。
特に顕著なのが、
エキゾチックアニマルの診療と整形外科の診療で、
遠方への通院が必要となるケースが
全国的にも多くなっています。
今回のようなエキゾ×整形は
小動物系の病院にとっては
鬼門なのかもしれません。
そして、地方でもなるべく獣医療の掌から
こぼれ落ちてしまう分野が出ないようにするのも
課題の一つかもしれません。