昨年より導入の準備をしておりました動物用のマイクロCTですが、
新しく診療機器が増えました。
デュアルダイオードレーザーです。
2種類の波長の(デュアル)半導体の(ダイオード)レーザー治療器です。
整形外科や神経外科を多く行っている先生から
疼痛緩和に対して単一波長のレーザーと比べても
大変効果が見られているという情報を聞いて
導入費用を抑えるため、型の変わる時期に合わせて導入致しました。
今までパルス鍼治療を行っておりましたが、
レーザーであれば、動物で鍼治療の行いにくい部位の治療を
行うことができるのも、当院としては良い点でした。
2種類の波長を使った症例に合わせたプログラムの治療を行うことで、
痛みのある部位の深部まで効率的に治療効果のあるレーザーを
行き届かせることができるという小難しい理論でしたが、
論より証拠、当院でも実際に使った
椎間板ヘルニアのわんちゃんや口内炎のねこちゃんで
効果が出ています。
当て方に注意が必要ですが
正しい使い方であれば副作用は考えなくても良さそうです。
部位によっては処置する人と動物に目を保護するメガネをしてもらいます。
当院の本当の院長のにゃんこ先生です。
「イケてるにゃ〜」
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このレーザーは、手術の際のレーザーメスとしても使用することもできます。
当院でもすでに手術でも使用しています。
その他に獣医療でよく使われるレーザーとしては炭酸ガスレーザーなどがありますが
これは外科で主に使われるもので、
このような疼痛緩和として使われるものではありません。
炭酸ガスレーザーは性能の高い高出力のものを
手術経験の多い先生が使うことで
非常に広い範囲の手術に応用することができるということです。
生半可なスキルや機械では理想的な使用ができないため
今のところ当院での導入は見送っておりますが、
レーザーの獣医療への応用は奥が深く今後も勉強していきたい分野のひとつです。
POCTはポイントオブケアテストの略語で、
大病院の中央検査室や、外注の検査センターで行われる大規模な検査ではなく
診療・看護の現場での検査のことを指します。
動物病院は、人の医療機関と異なり、中小規模の病院が多いため、
一般的に獣医療でPOCTという場合には
外注検査ではなく、院内で行われる検査全般を指すと考えられます。
特に、外注検査センターが近隣にたくさんあり、
その日のうちに検体の回収と検査結果の報告が可能な都市部と異なり、
地方では、簡易的な検査であっても、
POCTで検査することのできる項目を確保することも
大切なことと考えています。
以前に、POCT機器として
動物用の尿比重計と迅速血糖測定器をご紹介しましたが、
しばらく、設備関連の更新をしていない間に、
当院でも新たにいくつかの項目を測る機器を入れました。
尿のpHが測定可能なpHメーター(試験紙よりも正確な尿pH)
尿タンパククレアチニン比(UPC)簡易測定
血液ガス・電解質分析装置(アシドーシス、アルカローシスの評価、重炭酸イオンの評価、アルブミンの影響を受けないイオン化カルシウムの評価など)
血液中ケトン(糖尿病の重症度の評価)
血液凝固検査(簡易機器ではありますが動物用のデータがあるものを使用しています)
良い検査ができても、検査費用が必要以上に跳ね上がってしまうようなものよりも、
現実的に多くの動物を救うことができるかどうかを基準に導入しています。
単項目の小さな機械ではありますが、
すでにこれらの測定で病気の発見や状態の把握に至っているケースがあります。
またPOCT機器には微量の血液での測定が可能な機器が多く
採血量の確保できない動物や状態でも多くの情報を得ることができます。
少しずつではありますが、病院として発展していけるよう努めます。
少しずつではありますが、
当院でも口腔内レントゲン(口内法)の準備をしています。
現在、最適な撮影条件などを検討中です。
わんちゃんやねこちゃんの口腔内レントゲンは
基本的に全身麻酔下でないと撮ることがができませんので、
まず、一般的な口外法でおおよその状態を把握することになります。
口腔内の外科的な処置の際に口内法で細部の撮影を行うことで、
歯根部の隠れた病変などを検出します。
麻酔中に行う検査なので、動物への負担も少なく
有用な情報が得られる検査だと考えています。
猫ちゃんの手術時に、
より気管への負担を減らすために
喉頭マスクと人工鼻を使用しています。
喉頭マスクは短時間の手術時に
気管への負担を減らして
陽圧換気を行うことを目的としています。
また人工鼻は、気道内の乾燥を防ぎ
術後の不快感を緩和することを目的としています。
動物種によってベストなやり方は異なるので
今後も試行錯誤と改善が必要ですね!